平成26年度第6回知事とのふれあいフォーラム
第6回知事とのふれあいフォーラム(こんにちは!河野です)
内容
開催日時等
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開催日
- 平成26年9月30日(火曜)午後2時から3時30分まで
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場所
- 県立図書館2階研修室
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参加者
- 図書館関係者の皆さん10名
- 知事
ふれあいフォーラムの内容
知事挨拶
- 私の政治信条として県民との対話と協働というものを掲げており、知事とのふれあいフォーラムなどを通じて市町村ごとに地域住民の皆さんと意見交換をしている。
- また、このフォーラムは特定の分野に関して関係者との意見交換を行なう「分野版」も企画しており、今回は県立図書館をめぐる課題について意見交換を行いたい。
- 本日のフォーラムでは、今年度大幅に減額した「県立図書館の資料整備費」について、そして市町村立図書館などとの連携など「県立図書館の果たすべき役割」について議論を深めたい。
- 本日はそれぞれ専門的なお立場からご意見を頂き、県立図書館だけではなく市町村や大学図書館等も含め、県内の図書館が充実する方向性を考えたい。
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フォーラムの様子
県立図書館の課題等について活発な意見交換が行われました。
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主な意見等
1県立図書館の資料整備費
- 県立図書館の資料整備費の予算額が今年度削減されて、地方交付税に算入されている基準財政需要額とほぼ同額になっている。つまり、最低限の水準となっているということだ。県として何の分野を、どのぐらいの水準で資料整備するか検討する必要がある。
- また、資料整備だけではなく、図書館の利用が進まないといけないので、県民のニーズに応じるサービスの充実をセットで考える必要もある。
- 今回の予算減額は極端だった。今後の資料整備費は予算の全国順位や県の人口規模を基準にしてはどうか。
- 宮崎は文化的にも非常に深みのある県であり、文化力といったものに積極的に配慮してほしい。
- 予算削減が今後も続くようであると学習環境やレファレンスなど県民サービスへの影響が懸念されることについて、現場の職員が強い危機感を持っている。
2県立図書館の果たすべき役割
(1)市町村立図書館等との連携
- 県と市町村立図書館の役割分担として、市町村立図書館はベストセラーとか実用書の整備を行い、郷土資料や高度な専門書は県立図書館で整備していただきたい。
- 有名な教育関係の方から、宮崎県は大学や県立図書館に教育関係の蔵書が極端に少ないと指摘された。司書を育成し遠慮会釈のない選書ができるようにしていただきたい。
- 身近な一般図書についても予算が少ない市町村では県立図書館からの貸与に頼っているので、ある程度は県立図書館でそろえていただきたい。
- 長崎県では長崎市から大村市に県立図書館を移転する計画がある。長崎県立図書館が県内のあらゆる図書館をカバーし、相互のネットワークを充実させる方針である。
(2)物流のシステム
- 県立図書館が導入したオーダー検索システムにより、県内の19の図書館からお互いの所蔵する図書を一発検索できるようになったことで、平成24年度における市町村立図書館が相互に貸し借りした図書数は約3,500冊に及び、平成15年度と比較すると7倍に増えた。
- 佐賀県では県内にある図書をうまく活用している。宮崎県には320万冊の図書が各地に所蔵されているので、県内でうまく共有し、活用できるようなシステムを県立図書館が中心となり検討してほしい。
- 西米良村では平成24年度に移動図書館車を村予算で購入した。マイライン等で借りた図書を宅配車で村民の自宅まで届け、郵便局とかJAに返却ボックスで返却してもらっている。村民に好評で飛躍的に図書の利用が増えた。本が回る仕組みづくりが大事だと思う。
- 他県には市町村立図書館の相互貸借のコストダウン策として、県立図書館が配送センターの中心となり図書を一気に配送しているところもある。
- 県立図書館に専門書など図書の貸し出しを要求しても3週間必要だったりするので不便な思いをしている。また、距離的な面で、宮崎市外からは行きづらい。宮崎市外から県立図書館の専門書を利用する良い方法を検討してほしい。
(3)司書・レファレンス機能
- 県立図書館を行政機関の出先機関に位置付け、事務職員が3年毎で異動するのではなく、司書などの専門職が中心となり、中長期的な計画をもって県立図書館の運営をマネジメントすることが望まれている。
- 専門的な知識を持った司書がいることで、調べものをしに県立図書館に来る県民に寄り添い、どんな図書をそろえるか、どのように情報を提供しようか想像することができる。さらに、市町村立図書館等にも司書がいれば県や国の図書館の活用まで考えられるようになる。
- 資料整備費の水準に関する議論もあるが、人財づくりや県民の意識向上に関しては県民の生活が想像できる専門家の育成も大きな課題だ。
- 県立学校では司書は県内で1人だけであり、私立高校でも数名と少ないのが現状である。学校図書館の司書教諭は教員が担当するが授業の準備や行事で忙しく、司書としての役割が果たせないことも多い。
- 司書の資格はないが図書が好きな人など地域の人材を図書館に参画させることや保護者に家庭での「家読」に理解を得ることを通じて地域全体で図書館やその取り組みに関心を持ってもらうことが大事ではないか。
- 大阪中央図書館(東大阪市)では市民に寄り添う司書が多い。図書館の機能を向上させるには、職員のスキルアップが重要である。また、鳥取県の「本の学校」のように、図書館を支えるボランティアやNPOと連携し、図書館を盛り上げてはどうか。
- 今年、県生涯学習課が企画した司書や図書館関係者を対象とした研修会があった。司書の自己研鑽という意味で研修が充実した年であった。
- 司書の資格は大事だが、その人の資質の方が大事であり、専門職として核になる人を配置するだけではなく、育てていく必要がある。
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知事総括
- 非常に限られた時間だったが、資料整備費の話にとどまらず、市町村立図書館等との連携、物流のシステム、司書・レファレンス機能についてなどいろんな課題が浮き彫りになった。
- 図書館の分野では、市町村がフルセットで備えるのではなく、県や他の図書館と連携し、広域的に相互補完するシステムが徐々にできているのだとも感じた。
- 限られた体制のもと、県全体で320万冊の資料をどういうふうに活用していくのかという総括的な課題も提示された。
- 全てが満足できるように予算を確保し、体制も整えてということはなかなか難しい状況の中で、どういうふうに優先順位をつけながら、どういう工夫をしながら、どういう連携をしながら県立図書館を運営するか考えることが重要ではないかと思う。
- 来年度は国際音楽祭、県立美術館、若山牧水賞が20周年を迎えるなど本県文化振興に関する節目の年となる。このような中、県立図書館がどういう役割を果たしていくかというのも大きな課題となる。
- また、行動する図書館を目指し、蔵書や人員を整備するだけではなく、図書館が情報発信し、活動を理解してもらう、そしてより活用してもらう、それに向けた努力が必要だと思う。
- 本日いただいた意見を参考にし、県でもさらに議論を深め、よき方向にこの図書館のあり方を進めていきたい。