掲載開始日:2021年4月2日更新日:2024年3月26日
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宮崎県では、旧土呂久(とろく)鉱山の亜砒酸(あひさん)製造等によって生じた公害健康被害(慢性砒素中毒症)について、「公害健康被害の補償等に関する法律」に基づき、健康被害者の保護と健康の確保を図っています。
小学生環境教育用資料は以下からダウンロードできます。
小学生環境教育用資料~土呂久公害を学ぶ~(PDF:478KB)
土呂久地区は、宮崎県西臼杵郡高千穂町の中心地・三田井地区から北東に約14kmの大分県境にあり、人口約60人の集落で、地区の大部分は山林です。
この地域には鉱山があり、江戸時代の終わり頃から銀山として栄えました。
明治時代以降、砒素を含んだ硫砒鉄鉱(りゅうひてっこう)という鉱石が見つかり、大正9年(1920年)には、採掘した鉱石を焙焼して亜砒酸を製造(亜砒焼き)するようになり、昭和37年(1962年)まで断続的に行われました。
昭和46年(1971年)11月、旧土呂久鉱山における亜砒酸製造などによって地域住民の中に健康被害があるとの問題が地元の小学校の教諭から提起され、宮崎県は、住民の健康や地区の環境などを内容とする「土呂久地区社会医学的調査」を実施しました。
この調査の結果、土呂久地区には、旧土呂久鉱山の操業に伴って住民の健康に影響を及ぼすような環境汚染があったこと、また、慢性砒素中毒症と思われる健康被害者がいるということが明らかになりました。
宮崎県は、この健康被害を公害病として取り扱うよう国に要請しました。
国は、昭和48年(1973年)2月1日に、当時の「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法」により、土呂久地区を公害病の指定地域とし、指定疾病を「慢性砒素中毒症」と定めました。
砒素中毒症には、急性型と慢性型があります。慢性砒素中毒症は、長い間にわたって、皮膚、消化器、呼吸器を通じて人体が砒素化合物にさらされた場合などにみられ、次のような症状が現れます。
皮膚の症状としては、初めは皮膚炎がみられ、後には胸や背中などに色素沈着、色素脱失が認められるようになり、主に手のひらや足の裏に角化症がみられるようになります。
鼻の症状としては、鼻粘膜瘢痕(びねんまくはんこん:鼻の粘膜に傷跡があること。)、鼻中隔穿孔(びちゅうかくせんこう:鼻の穴の中央にある壁に穴があくこと。)があります。
神経系の症状としては、多発性神経炎(手足の感覚障がいや運動障がいなど)が、呼吸器系の症状としては、慢性気管支炎(長期にわたる気管支炎症状)がみられます。
また、慢性砒素中毒症の患者には、ボーエン病(皮膚がんの初期症状)、皮膚がん、肝硬変、肝臓がん、肺がん、尿路上皮がんなどがみられることが知られています。
なお、現在、法律による慢性砒素中毒症の指定地域は、宮崎県高千穂町の土呂久地区と島根県津和野町を中心とする笹ケ谷地区の2箇所となっています。
宮崎県土呂久地区で慢性砒素中毒症の患者として認定された方は、令和6年3月14日現在、男性118名、女性100名、計218名(うち生存されている方は41名)となっています。
この218名のうち、82名の方については、宮崎県のあっせんにより、土呂久鉱山の最終鉱業権者(住友金属鉱山(株))との間で和解(話合い)による補償が行われました。
また、県では公害健康被害の補償等に関する法律に基づく給付を行なっており、現在、39名の方が医療の給付や障害補償費の支給などを受けています。
なお、宮崎県では土呂久地区を健康観察地区とし、昭和48年(1973年)から継続して毎年、専門医などによる住民健康観察検診や保健指導を行なっています。
さらに、土呂久地区の環境の改善を図るため、問題提起のあった直後の昭和46年(1971年)から昭和58年(1983年)までの間に、簡易水道の整備や農地の土壌改良など砒素汚染対策・環境復元のためのさまざまな事業を行なったことにより、現在では自然豊かな環境が取り戻されています。
砒素に関する経験や人脈をアジア各地の砒素汚染解決にいかそうと、宮崎県高千穂町の旧土呂久鉱山、木城町の旧松尾鉱山周辺で慢性砒素中毒に苦しんでいる人々を支援していた「土呂久・松尾等鉱害の被害者を守る会」を母体として設立されたNPO法人です。
宮崎県宮崎市に本部、首都圏に東京連絡所、バングラデシュにダッカ事務所と南西部ジョソールに砒素センターをおいて活動を展開しています。
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環境森林部環境管理課環境審査担当
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