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掲載開始日:2021年4月1日更新日:2021年4月1日
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有機質肥料が畑に散布されると糸状菌や放線菌、細菌などの菌類によってアンモニアに分解され、アンモニアは細菌により硝酸へと分解されます。
そして、分解によって生じたアンモニアと硝酸は肥料として植物に吸収されます。このように、有機質肥料が肥料効果を示すのには菌類の作用が大きく関わっています。
畑では、クロルピクリン等を用いた消毒が行われることがあり、土壌消毒による有機質肥料の分解への影響を明らかにするため、クロルピクリンで消毒した土と未消毒の土を用い、代表的な有機質肥料である菜種油粕の無機化試験を行ないました。
その結果、菜種油粕のアンモニアへの分解はクロルピクリン消毒の影響をほとんど受けませんが、アンモニアから硝酸への酸化は消毒の影響を強く受けることがわかりました。
また、菜種油粕は地温20℃で約3週間、地温30℃では約2週間で概ね50%が分解し、その後は無機態窒素の量に大きな変化はみられなかったことから、春から秋における肥効は2~3週間程度であると考えられました。なお、この結果は灰色低地土においても黒ボク土においても同様でした。
図1.20℃での菜種油粕の無機化率(左:未消毒右:クロルピクリン消毒)
図2.30℃での菜種油粕の無機化率(左:未消毒右:クロルピクリン消毒)
施設栽培ほ場では養分集積ほ場(リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム等の蓄積したほ場)が増加傾向にあることから、集積した養分を有効活用し効率的な施肥を行うため、養分集積ほ場での促成ピーマン栽培において、尿素を用いた養液土耕栽培について試験を行いました。
試験では、尿素を用いた養液土耕栽培においても、粒状肥料を用いた慣行栽培及び、厳寒期に硝酸を用いた養液土耕栽培と同等の収量が得られ、養分集積ほ場においては、施肥コストの大幅な削減が可能と考えられました。
また、厳寒期においても平均地温が18℃以上では、土壌中の硝酸態窒素がアンモニア態窒素よりも多くなったことから、硝酸化成は進むことが確認されました。
なお、施設内での粒状の尿素の施用は、環境によってはガス障がいが発生する恐れがあるため、避ける必要があります。
図1.10月から3月までの収量
図2.土壌中の無機態窒素の推移
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