令和元年度行財政改革懇談会(第1回)議事概要
令和元年度宮崎県行財政改革懇談会(第1回)の概要については、以下のとおりです。
1日時
- 令和元年7月18日(木曜)
- 午後1時30分から午後3時まで
2場所
県庁特別室(本館3階)
3出席者
(1)委員
黒木委員、四方委員、杉山委員、谷口委員、土田委員(座長)、中川委員、中島委員、山口委員、吉田委員計9名(五十音順)
(2)県
知事、総務部長、総務部次長(総務・市町村担当)、総務部次長(財務担当)、人事課長、人事課行政改革推進室長、財政課長等
4議題
- (1)「みやざき行財政改革プラン(第二期)」に基づく行財政改革の取組について
- (2)「みやざき行財政改革プラン(第三期)」について
【配付資料】
5議事概要
事務局からみやざき行財政改革プラン(第二期)に基づく行財政改革の取組状況及びみやざき行財政改革プラン(第三期)について説明を行い、各委員から以下のような意見をいただいた。
- (委員)
これから人口減少社会が来るのは間違いないことから、プラン冊子に書いてある「行政需要の変化に対応した組織のあり方・定員のあり方」ということについて、どの時点でどうするかというのが非常に難しいのではないかと考えている。
将来を見通して、今、対策を打つべきもの、また、事象が発生したときに対応すればよいものをある程度分けながら対応していく必要がある。
特に、若い人達がなかなか地元に就職してくれず、人手不足が常態になっているので、今までのやり方だけでは対応できない。海外の人を含めてどうするのか、県民の需要に的確に応えていくための体制づくりを考えていく必要があるが、プランに書いてあるので検討いただいているものと考えている。
財政面からいくと、公営企業をどうするか、県がずっとやらないといけないのかということも含めて検討していかなければならない。
人が減る、そしてコストは下げないといけない。公営企業を持ち続けることによって財政の困窮を招くようなことになってはいけないので、大量生産、多くの人がいる時代とは違ってきているということを意識して進めていただきたい。
- (事務局)
少子高齢化対策については、県総合計画のアクションプランにおいても重点施策として取り組むこととしている。
また、今年度は人材確保のための人口減少対策基金を設置し、今後4年間の新たな取組として、移住対策や雇用環境づくりや職場の魅力づくり、中高生に対する県内の企業の紹介などに取り組んでいきたいと考えている。
また、外国人材の確保についても、受け入れに向けた環境整備や、県内で生活しやすい環境づくり等に取り組むこととしている。
この行財政改革プランを推進することにより、県総合計画を下支えするということにしているので、積極的に取り組んでまいりたい。
また、公営企業ということで、企業局については、電気事業、工業用水事業、一ツ瀬川の県民スポーツレクリエーション施設の利活用についても積極的に推進することとしており、プラン10ページに記載している。
さらに、病院局については11ページに記載しているが、高度・急性期医療を担う県立病院ということで、「宮崎県病院事業経営計画2015」を平成27年3月に策定し、これに基づいて安定的で強固な経営基盤の確立に取り組んでいる。
数値目標としては病院事業全体で総収支比率を100%以上とすることを掲げて取り組むこととしている。
プラン11ページの下の方には、公社等改革ということで、4月に新公社等改革指針を策定し、公社等への人的・財政的関与の見直しとして、県からの職員派遣の見直しや公社の自立化をさらに進めていくこととし、数値目標としては、公社等への財政支出総額を、基準値の2018年度の約85億円から、2023年度には71億円に削減するという目標を立てて取り組んでいく。
- (委員)
公営企業関係で、電気事業や工業用水事業、地域振興事業のゴルフ場経営等、こういうものを県が直接やらないといけないのか検討が必要ではないか。民間委託するとか、民間へ譲渡等を含めて、発電事業は黒字だろうとは思うし、県が果たしてきた役割というものがあるとは思うが、これからもずっとやらなければならないのかという検討が必要。
- (事務局)
プラン32ページにアウトソーシングの推進を掲げており、委員御指摘のとおり、外部委託の推進や、公の施設における指定管理者制度の活用、新たな施設整備についてはPFI手法等を活用するなど、民間活力の活用や県と民間企業との適切な役割分担の見直し、場合によっては民営化等についても今後検討していく必要があると考えている。
- (委員)
最初の質問にあった少子高齢化対策として、緊急を要するもの、ある程度の時間的な幅を持たせながら検討していかなければならないもの、というような御発言があったが、その辺りは知事はどのようにお考えか。
- (知事)
県の重要施策について、どのようにターゲットを絞って、短期、中期、長期と目途を付けながらやっていくかということであるが、今回、6月議会には具体的な施策を掲げているところであり、それが全てということではなく、これからもいろいろな手を打っていくということに尽きる。
それから、環境の変化に機動的に県庁が対応できる体制を整えることができるかどうかというのもポイントであり、例えば、昨日も幹部会議で議論したが、児童相談所では児童虐待等の通報の件数が著しく増えている。警察等への通報を積極的にするという認識が高まり、今まで以上に件数が伸びている。
それに対して適切に定員を増加させているのかどうかということがある。この行財政改革プランの中では、定員に関しては減らす一方ではなく横ばいにし、必要なところには配置していくとしており、そこができているかどうかということをしっかりとチェックすべきだと考えている。
- (委員)
第三期のプランでは、「県政運営を支える人材づくりと働き方改革の推進」が新しい視点となっているが、人口減少という視点からも人材づくりは大切であると思う。
数値目標を細かく決めているのに目標として掲げられていないもの、例えばジェンダーバランスや年齢のバランスなど、全体的に目配りをしながら人材育成をしているのかお伺いしたい。
例えば災害とか減災対策には女性が参画していないということがあり、目標数値がある項目については重点的に取り組むと思うが、あらゆる分野で女性が参画し、その上で数値目標も達成されるというのが理想的である。
また、男性職員の育児休業取得率は全国と比べて高くなっているし、目標も高く設定されているが、これは単位はどれくらいか。半年とか1年とかではなく、1日でも取得すればカウントされているのか。
- (事務局)
男性職員の育児休業は、長い人で1年や2年、短い人で1週間であり、半年や1か月等、いろいろな方法で取得している。
- (委員)
1週間や1か月は短いということを言いたいわけではなく、どんなに短くてもよいので、働きやすい形で男性も育児休業を取っていただいて、結果、目標が達成されるとよいと思う。
- (事務局)
プラン46ページに、「仕事と子育て・介護が両立できる環境整備」という項目があるが、県庁では、特定事業主行動計画として、次世代育成及び女性活躍推進に取り組むための計画を、「県庁子育て・女性応援プラン」として策定している。その中で、女性が活躍できるように、子育てについては男性職員も女性職員も育児に携わるということで、働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推進、長時間勤務の是正等に取り組んでいる。
また、女性登用についても数値目標を掲げ、女性職員の副主幹級以上への登用を積極的に推進している。
今後は、育児に限らず、ワーク・ライフ・バランスということでは介護や、病気の療養、地域活動、自己研鑽等にも職員が積極的に関われるように、職員の健康管理にもしっかりと取り組んで、県庁の健康宣言もしたところであるが、こういった取組により県庁全体が効率的で効果的に業務を進めながら、職員がそれぞれの職場で能力を発揮して活躍できるようにしてまいりたい。
- (知事)
先程、防災の面での御指摘があったが、県庁の危機管理局にも女性職員を配置するようになり、担当職員として女性の視点を持ちながら仕事を進めている。
県の防災会議などでは充て職になっていることから女性が少ないものもあるという指摘もいただいているので、問題意識を持って進めていきたい。
実動部隊という点では、男性消防団員がなかなか増えない中、女性消防団員はずっと増えているという状況もある。
防災という面からも、女性共同参画が進み、女性の活躍の場が広がっている状況である。
- (委員)
プランを読んで非常にいろいろなことに取り組まれるというのがよく分かった。
いくつか気付いた点としては、一つは視点2の「県民ニーズに対応した行政サービスの提供」のところの、「ICTを活用した県民サービスの向上」は魅力的だが、せっかくICTを活用するのであれば、効率化にも関連するが、ニーズの拾い上げの部分で、県民の行動を把握するとよいと思う。
行政サービスは地産地消のサービスの最たるものだが、地産地消ではなく地消地産ではないかと思う。地元が消費するものを地元が産み出すものである。
地元の住民が価値だと思っているもの、価値を提供する必要があり、県民が何を価値だと思っているのかを拾い上げられるような調査をいろいろとしていると思うが、まとめられるとよいのではないか。
最近になって過去の調査の再分析依頼をいろいろな自治体から受けている。それにより新たな発見をするなど、もっと面白い県民ニーズが浮き彫りになるのではないか。
もう一つは、市町村間連携について、例えば観光や経済など、アンケートを取ってみたりすると県の進む方向性とギャップがあることが多い。
その原因としては、市町村の現場でも人が少なくなっており、市町村でもやらないといけないということはわかっているが、全てはできず、絞らないといけないということがある。
いろいろとやらないといけないことはあるが、各市町村に何を求め、市町村は何をすればよいのかということについてもう少しコミュニケーションを図れるとよいのではないか。
コミュニケーションが今まで以上に進むと省力化した各市町村と県との連携が生まれるのではないか。
三つ目として、数値目標についてはなぜ達成したのか、なぜ達成しなかったのかという分析を是非進めていただきたい。達成しているように見えるものでも実はそうでもなかったり、例えば、ソーシャルメディアの閲覧件数についても、閲覧はいろいろな方がしているが「いいね!」を押しているのは県職員だけだったりするので、閲覧とは別の指標もある。ただ数字を測定するだけではなく、数字を意味のあるフィードバックに使えればよいと思うので、分析が必要である。
- (知事)
市町村連携についての話があったが、人口減少の問題については、県としてもいろいろなデータを示して様々な対策を打っているところであるが、より市町村との連携を深めていくには、個々の市町村における人口減少対策に踏み込んでいく必要がある。
例えば、合計特殊出生率についても町村部は高いわけだが、都市部は低く、そこにどうやってテコ入れをするかというところが自然減への対策に繋がっていく。
移住などでも西米良村だと数戸でも移住が進めばそれでかなり人口が増えるが、都市部ではそうではないので、それぞれの自治体に応じた対策をより深めようということで、県と市町村で7ブロックに分けて問題に取り組んでいくことを今年度からやることにしている。
また、分析という話があったが、例えば、本県は自殺率がワースト2位、3位であったが、今は8位になった。全体的に改善傾向ではあるが、さらに対策を進めていかなければならないことから、自殺の背景となるものについて全国と比較をしている。
複数回答であるが、健康問題を理由にしているものが全国と比べても多く、メンタルの部分が多いところであるが、他には家族の問題が全国と比べて多くなっている。そういうところに踏み込むことにより、さらなる対策ができるのではないかという議論をしたところである。
これは自殺率という一つの視点の例ではあるが、県政の様々な分野において、データをどのように分析していくか、出生率であれば、今は1.72で全国2位ないし3位であり、宮崎を含む九州は高いが、なぜ高いのかという分析も必ずしもできていない、説明がしきれていないので、いろいろなテーマについてさらに踏み込んだ分析をすることによって、次の対策に活かせるものがもっと出てくると思うが、そのスキルが必要である。
- (委員)
今ちょうど、国民スポーツ大会関係の延岡の体育館のコンペが行われているが、例えば国民スポーツ大会のような何年もかけて準備するような県のビッグイベントに合わせてスポーツ技術の向上を図るとよいのではないか。
そして、合計特殊出生率は高いが県外に出て行く人が多いので、そこを国民スポーツ大会に絡めて、もっと宮崎に残ってもらう、国民スポーツ大会をきっかけに、宮崎に来た他県の人に住んでもらうような策を、国民スポーツ大会の前後でやっていくような仕組みがあるとよいと思う。
おそらく総合計画の中では合計特殊出生率の向上対策を定めていたり、人口減少対策の話はあると思うが、総合計画で考えていることが各プランでどこにどう関係してくるのか、県のビッグイベントと絡めて考えてほしい。
- (知事)
国民スポーツ大会と人口減少対策を直接結びつけてというところまではいっていないが、今お話があった体育館については延岡に、陸上競技場については都城に造るという発想は、これまであまりにも全てのものが、スポーツ施設やそれ以外の文化施設についても宮崎市に集中していたことから、全体的な人口を含め、経済の活路を含めて宮崎市集中で、それが県庁所在地として必要なことではあるが、高速道路のインフラ整備が進む中、もっと分散をし、地方に拠点を置くことにより、その地域の振興を図るというものである。
スポーツという部門で振興を図って、延岡、都城が第2、第3の拠点となるということで、人口減少対策に結びついていくのではないかという発想の下で分散、追加整備をするということが今回、国民スポーツ大会に関連して人口減少対策に結びつけたものとなっている。
- (委員)
プラン44ページの「職員の意識改革と働きやすい職場づくり」ということで一つ目に「職員間のコミュニケーションが活発な風通しのよい職場環境づくり」と書いてあるが、是非ともこれを実施していただきたい。
上意下達ということで、上司が全く下の人の声を聞かないということを耳にすることがあるので、そういうことがないように、自由闊達な意見の言える職場づくりを進めていただきたい。
私は41年間同じ職場にいたが、若い頃は意見をしてもお前がおかしいと言われることがあった。お前がおかしいではなく、人間だから違ってもいい、違うからこそコミュニケーションが大事だと思うので、プランの中にも「提案・かえるのたまご」を実施するとあるが、是非、若い人の意見を聞く職場づくりをしてほしい。
昨日、テレビ番組で、大阪大学経済学の松村真宏先生が提唱している仕掛学の話があった。経済学や経営学は最近では統計学が主流になっている。
仕掛学の定義が3つあり、一つは公平性、二つ目は誘引性、三つ目は目的の二重性である。公平性は誰も不利益を被らないこと、誘引性はつい行動したくなること、例えばバスケットゴールの下にゴミ箱を置くと若い人もバスケットボールをする感覚でゴミを捨てられるために喜んでするようになる。
また、放置自転車が多いところに子ども達の絵を飾ると子ども達が喜び、親も子ども達の絵の上に物を置けなくなるということで放置自転車がなくなったという例もあった。
目的の二重性は、仕掛けをかけられる側と仕掛けをする側で目的が違っていることで、子どもは自分の絵が飾られて嬉しいし、親は自分の子どもの絵の上に物を置けないと感じる。
- (事務局)
働きやすい職場づくりについては、働き方改革の方針を定めて取り組んでいるところであるが、上司から部下への業務の指示の出し方について、あまりにも強制的でハラスメントにならないようにということで、パワー・ハラスメントの防止等についても研修を行なっている。
また、上司と部下とのコミュニケーションを緊密にするという点については、人事評価制度を取り入れており、期首の目標を立てる際や、取組の評価、評価結果を職員へ開示する際に上司と部下が1対1で面談をし、意思疎通を図りながら業務の遂行に向かって共通の意識を持って取り組むこととしている。
さらに、人材育成については、人材育成基本方針を定め、その中で研修やOJTとして職場内研修にも取り組んでいる。
また、目指すべき職員像としては、「深い郷土愛を持ち、人間性豊かで県民に信頼される職員」、「チャレンジ精神に富んだプロ意識の高い職員」、「目標達成に向けて互いに協力し合い成長する職員」ということで、人材育成の柱としては4つ、「職員の個性や適性を重視した、人を育てる人事管理の推進」、「自ら学び、成長する職員の育成」、「優れた資質を持ち、本県の将来を担う人材の確保」、「職員の成長を支える魅力ある職場づくり」を行うといったような基本方針を定めており、これに基づき各所属で上司と部下のコミュニケーションを図りながら働きやすい、風通しのよい職場環境づくりを進めている。
- (委員)
私は働く立場ということでこの懇談会に参加させていただいているが、プラン45ページにある「ワーク・ライフ・バランスの推進」ということに関連して発言させていただく。
先程も話があったが、今は本当に人口減少、超少子高齢社会の中で、人手不足が起こっている。
以前、西米良村にキャラバン隊で訪問した際、職員がサマーホリデーといって交代で休むという、素晴らしい取組が行われていた。
今年も26市町村を訪問させていただいた際に、それぞれの職員の年次有給休暇の取得について伺ったところ、取得日数が最も多いのが宮崎市で、やはり組織が大きいところが休みを取りやすいが、それでも平均は10日程度であり、少ないと感じた。
小規模な職場は土日にイベントがあって全員が出勤したり、そしてその代休も取れないという切実な話を伺ったので、やはりプラン46ページに働き方改革関連の数値目標があるが、「ワーク・ライフ・バランスの実現度」や「庁内の働き方や仕事の進め方に対する満足度」が2020年度に70%というのは、是非達成するようにお願いしたい。
「県民ニーズに対応した行政サービスの提供」という項目もあるが、これを県の職員がするのは本当に大変なエネルギーが要るのではないかと思うので、是非、心も体も元気になるためにしっかり休んでいただきたい。
先程知事が自殺の話をされたが、一昨日厚生労働省が発表し、テレビのニュースでも取り上げられていたが、10代から30代の亡くなる原因の最も多いものは自殺である。若い人たちが自殺をする。その理由が人間関係の悩みや職場での孤立等ということで非常に胸が痛んでいる。
以前に自殺対策関係の委員を務めさせていただいた時には、宮崎での自殺は50歳代で働き盛り、特に男性が多く、理由としては経済的なものであった。また、地域では小林・西諸が多いなど、分析をしてオール宮崎で取り組んで、自殺率が上位だったのが8位になった。
やはり超高齢化社会の中で、若い人たちが自殺をするという現状を私たちもしっかりと見据えて対策に取り組んでいかなければならないと感じている。
しっかりと休んでワーク・ライフ・バランスを推進していただく必要がある。
また、質問としては、「県民の声」の受付件数が4年間で954件とあり、対応するのは大変だろうと思うが、内容はどのようなものがあるのか。
- (事務局)
年次有給休暇取得については、目標として年間15日を掲げているが、ただ数を取ればいいというものではなく、休みたい時に休めるというのが大切だと考えている。
現在、県職員の年次有給休暇の年間取得日数は約12日となっており、民間の方よりは多くなっていると思うが、子どもの病気や親の介護等の、休みが必要な時に休めるというのが大事であり、この行財政改革プランの中では「ワーク・ライフ・バランスの実現度」の他に、「庁内の働き方や仕事の進め方に対する満足度」という数値目標を掲げており、何日休むかよりも、休みたい時に休めるというのが満足度に繋がるものと考えている。
必要な時に休みが取りやすい環境づくりを各職場の中で進めていきたい。
- (委員)
休みを取るというのは絶対的に必要なことではあるが、その一方で代務者が育っていないとか、機械化が進んでいないということが根深いのではないかと思う。
若者が宮崎に帰ってこない理由を聞いていると、給与だとか言われるが、実際のところは責任が重いからという理由がある。1人休むと代務者がいないために経理や営業が1人になってしまい、責任が重くなるという状況があり、大企業がたくさんある都会に行なってしまう。そういうことが行政の現場で起きているのではないか。
有給休暇を取得するのは大事だが、その根底にある代務者の育成、係を超えたカバー、全体でのカバーの仕組みが大事である。
- (委員)
今、若い人たちが入社して3年目までに30%程度が辞めてしまうという状況がある。この対策を本格的にやらないといけない。少ない人の中で、休みが少ないというのも理由ではあるが、公務員は県庁も含め、休まないと言ってもまだ休んでいる方である。休めないところはしっかり休むようにしないといけない。
しかし、例えば建設業とか他の業界というのはもっと休みが少ない。公務員は割と守られているが、建設業等の休みを増やすためにどうしていくのかということ、民間企業の働き方改革というのは県も対策を考えないと、若い人は定着していかないのではないか。休みがないというのが厳しい。若者が定着するための対策も必要である。
- (知事)
最近は建設工事でも週休2日の工事も行われており、それが看板などで示されているが、見方によっては休めていなかったのだということに気付く。
- (委員)
ああいうのが望ましい。
- (委員)
今の若者は、自分が見たい時に動画やインターネットを見るというのに慣れているので、自分のタイミングで何かをするというのがずっと生活の中に根付いて育ってきている。
そのため、自分の都合に合わせられないということに非常にアレルギーを示す。そこを柔らかく包んであげないといけない。生まれてからずっとそういう体制でいるので、いきなり我々のような昭和型の人間がスパっと決めることは難しいと思う。
- (委員)
「あなたの話は分からない」と言われて仕事に来なくなった人もいる。それだけの事だと思うが、言われた人にとっては大きいことである。それを理解してあげる社会、企業の風土を作らなければならない。
- (事務局)
プランの中で、AIやRPAの活用という話や公社を今後どうするかという話も出ている中で、例えば建設業のICT化を県が自ら応援するというのも結構限界があると思う。
しかし、例えば公社、農業公社でスマート農業のところをチャレンジするようなことを農業試験場等で牽引するだとか、そういうことで山間部など、林業の人などを支援していくというのは宮崎でしかできないのではないかと思う。
そういう話をしても、現場ではどこで誰がやるのかという話がここ数年繰り返されていて、戦略的に、公社がやるのか、今日は大学の先生もいらっしゃるので、チームみやざきという形でやれるとよいと思う。
- (知事)
担い手不足対策や負担軽減、効率化ということでのスマート農業、林業も漁業もそこは積極的に取り組むため、予算を組んでやっているところである。
漁業であれば海の天気図、海のデータを提供することによって効率的に漁獲をする、林業であれば下草刈りの負担軽減ということで、ドローンで農薬散布をしようとしたら環境の問題があるということで話題になったりということで、新しい技術をどう適切に管理をして負担軽減をし、効率化していくかというのを試行錯誤しながら行なっている。
- (委員)
1年に1回しか使わない田植機など、そのような機械を今でも各農家に1台ずつ持つということを推奨するというのが農業の生産効率を下げていると思う。共同化して、機械を使い回すことにより1台ずつ持たなくてもよくなり、持てば機械を整備する力も必要なので、もう少し共同経営化を推進できないものかと思う。
農業を辞めたら倉庫に機械が残ってそのまま放置してあるというような状況が散見されるので、共同化できないものか。
- (知事)
今は否応なく担い手不足が広がる中で共同化を進めるという流れである。
例えば和牛生産にしても口蹄疫でダメージを受け、農家の数自体はなかなか戻らないが、頭数は大規模されて拡大しており、連携・大規模化というのが今の方向性である。
それから資材の有効活用ということでは、今年度の新規事業で、農業や漁業等で事業承継を円滑にするため、畜舎があるけれど廃業をする場合、それを次にやりたいという人に円滑に結びつけていく、漁業であれば船を次の世代に渡していくような仕組みづくりに取り組むこととしている。
- (事務局)
先程御質問のあった「県民の声」について、平成30年度では、225件のうち一番多く意見を寄せたのは40歳代で、内容については、生活・環境分野では、「若者の宮崎定着について」や「硫黄山噴火の対策について」、防災関係で「八重川の防災について」、「県立図書館の駐車場の確保について」などの意見が寄せられている。
また、保健・福祉分野では、「障がい児へのサポート体制について」や「県立病院の救急医療体制について」、「自殺対策について」、商工・労働分野では、「KONNEの活用について」や「案内板の外国語表記について」といったようなものがあった。
交通・社会基盤については、「自転車の左側通行の徹底について」や「空港のタクシー乗り場について」、「県道の道路拡張について」、文化・教育分野では、「食育教育について」や「県立高校でのゴミ対策について」、「高校野球の試合開始時期について」、「高校生のアルバイトについて」等が寄せられた。
- (知事)
全般的に様々な声が寄せられている。東国原知事の頃は件数が増えた。何か注目が集まると増える。例えば強制不妊の問題であるとか、話題になることがあるとそれに関連するものが増える傾向にある。県の不祥事があれば増えるので、そういう意味ではチェック機能が果たされていることになろうかと思う。
- (委員)
真摯に対応いただいていると感じる。
- (委員)
話のあったスマート農業関係について、大学・行政・産業が連携してということで、なかなか難しいというか、行政の方から結構そのような話があり、まとまったお金も必要となってくる。総務省を中心とした補助金などもあり、それにチャレンジしていくということは目標にもなるし、またそれに採択されれば素晴らしいことで、地域や県の大きなステップになっていくのではないかと思う。そういう活動は是非推進していただきたい。
- (委員)
今、国土交通省の仕事で五ヶ瀬川の平成17年の災害を超えた水害が起きた時にどう連携していくか、タイムラインの検討会というものを行なっている。
そこで、国土交通省や県、流域の市町村と一緒に協議会で検討しているが、プランニングしている地震のレベルがまだ低い。レベル1に今は一生懸命で、レベル2が起きた時には逃げるところが違ったり、連絡体制も変わるかもしれないが、そういうところが合っていない。
その部分を県・市町村間と国でどうレベルを高めていくか、というのが大変である。それが大淀川流域で考えた時にどうなるかは分からないが、五ヶ瀬川ほど進んでいないのではないかと思う。
危機管理能力の強化については、高める必要があると考えている。
- (委員)
人口減少ということに加え、宮崎から若者が減って生産人口が減少している。さらに、有給休暇は5日以上取りましょうとか、勤務と勤務の間のインターバルを取りましょうということで、仕事をする時間がどんどん減っていくとなった時に、今やっている仕事の生産性、効率を上げないといけないということで、プラン49ページの「公務能率の向上」という項目があるのだと思う。
業務の見直しや廃止があると思うが、実施計画が2019年度から2022年度までがほぼ検討・実施となっている。うがった見方をすれば3年半検討で、実施は半年ということもあり得るので、書きにくかったのだろうと思うが、もう少し細かな分け方をしないといけないのではないか。
そうしないとずっとそのまま検討でいいということになるので、例えば検討は1年間で終わらせ、翌年に実施、というようにある程度スパンを切った書き方はできないのか。
AIを活用した業務改善の検討ついては4年間ずっと検討となっている。ITは進化が早いので、4年間検討してやろうとしても4年も経てば遅れてしまう。
また、是非テレワークの検討も入れていただきたい。災害があった時、事務所まで出て来られない、もしくは他県に応援に行かなくてはならない場合、誰も代わりがいないということになった時には、テレワークがありさえすればそこから仕事ができる。
セキュリティの問題もあると思うが、少なくとも検討のテーブルの上に乗せてほしい。
- (委員)
この「公務能率の向上」、「働き方改革」はこのプランの目玉なので、実施計画がずっと検討ばかりではしょうがないという意見であるが、事務局のお考えはどうか。
- (事務局)
検討・実施だけでは進まないのではないかという貴重な御意見をいただいたが、RPAやOCRを使ったICTの活用については、どういった業務に活用できるかという実証が必要になるため、プラン策定時において実施年度を明確にできなかった。
実際には、今年度は税務関係でRPAを使った業務改善に取り組んでおり、また、情報政策課が中心となって、どういった業務にRPAが活用できるかという実証をするための予算を取り、現在、各課から実証対象業務を募集して実証を進めているところである。
来年度以降は、実証した業務について効果が見込まれれば本格実施していくという段取りで進めていきたい。
AIについては人工知能によりどういった業務が行えるかということについて、守秘義務や情報漏えい、ウイルス対策等、いろいろと検討することが多いということで4年間を検討・実施としている。
また、テレワークについては、リモートアクセスということで、県庁内のグループウェアに自宅からでもアクセスができるようになっており、メールの送受信も可能だが、セキュリティ上データをアップロードするところまでは取り組んでいないので、他の自治体の取組を参考にしながら、テレワークの推進について進めてまいりたい。
- (委員)
プラン44ページに、「職員の意識改革と働きやすい職場づくり」とあるが、働き方改革について、県職員が一般の人への一番のよいお手本になると思う。女性登用は、改革はされてきていると思うが、これからももっと進めていただきたい。
県が率先してやることにより、一般の中小企業が右へ習えではないけれども、いろいろな恩恵を受けられる形になっていくと思う。
それから、やはり財政改革ということでは、プラン52ページから54ページの個人県民税の確保や自動車税の納期内納付率の向上については、まだまだ、もっと改革の余地があるのではないかと思う。
- (事務局)
女性登用関係の御意見について、女性をいろいろな分野に配置して活躍の場を与える、これまで男性職員がばかりが配置されていたところに女性を配置したり、長期の研修には以前はあまり女性を派遣していなかったが、例えば今年度であれば厚生労働省や民間企業のソニー、地域活性化センター、奈良県等、いろいろな分野に女性職員を長期で派遣して人材育成を図っている。
いろいろな経験を積むことで、県庁全体を活性化していきたいと考えている。
- (委員)
県におかれましては、本日の各委員からの意見を踏まえ、今後の行財政改革の一層の推進に取り組んでいただくようお願いしたい。
- (知事)
様々な分野についての御指摘ありがとうございました。人口減少から始まって、特に県職員としての公務能率の向上というところでも御指摘など、本日はいろいろな御意見をいただいた。
今、採用試験をいろいろな分野で行なっているが、教員の採用試験の倍率がぐっと下がってきている。質を保っていく上では倍率を確保することは非常に重要な課題である。
どういうことでそこまで下がってきているのか、魅力をどのように発信していくのかということは、教員のみならず、県職員や警察官についても、今後の組織の活力を保っていくには非常に重要である。
新しく入ってくる人員の確保と、今いる人員については、ワーク・ライフ・バランスの実現度や働き方の満足度が低いというのは気になっているところであるが、ここを高めてより効率的な県庁にしていくか、非常に重要な課題であるため、この第三期の行財政改革プランの実施の上で、そこに力点を置いていきたいと考えている。
今後、大きなポイントとなるのは資料2の4ページにあったが、財政見通しの公表ということで、今は非常に厳しい財政状況であった頃よりは改善傾向にあるが、それでも国民スポーツ大会関連施設の整備を含めて大型プロジェクトが進行している中で、しっかりとした財政見通しに基づいて行財政運営をしていくというのを県民の皆さんに説明をして、適切な対応を図っていくということであるので、そういったところもまた御意見をいただきながら進めてまいりたい。
本日はありがとうございました。