令和6年度知事との本音トーク分野版(第2回)
内容
開催日時等
開催日時
令和6年12月18日(水曜日)10時30分から12時まで
場所
防災庁舎4階防43号室
テーマ
スタートアップの創出及び成長促進について
参加者
スタートアップ企業関係者6名
本音トークの内容
知事挨拶
- 本日は、ご多忙の中、「知事との本音トーク」に参加いただき、感謝申し上げる。県政を進める上で対話と協働を重視しており、この本音トーク分野版は、特定のテーマを決めて、その関係者の皆さまと意見交換を行う場である。今回は、スタートアップに焦点を当てた本音トークを開催する。
- スタートアップ企業の皆さまと一堂に会して意見交換するのは初めてで、楽しみにしている。
- 県全体でもっとスタートアップを盛り上げていくサポート体制についての提言を含め、皆さまのそれぞれの立場で感じていることなどについてご意見を伺い、今後の施策に生かしていきたいと思う。
ページの先頭へ戻る
本音トークの様子
ページの先頭へ戻る
主な意見など
1.本県でスタートアップを経営する上での利点と課題について
- 当社の事業はコミュニティづくり、街づくりが中心であり、現在全国50弱の街で事業展開している。事業の性質上、企業の立地は宮崎にこだわらずともできる。ただ、創業する場所を探すに当たって全国各地域を回っていた時、南に行けば行くほどチャレンジに寛容な空気感が流れているというのを感じるようになった。そうした中、宮崎は行政の企業に対するフレンドリーさや複数の地元銀行がベンチャーキャピタルを有していることなど、スタートアップを創業しやすい環境が整っていた。
- 東京からのアクセスの良さも魅力である。宮崎をよく知らない友人にフライトの本数を話すとびっくりされる。また、空港から市街地が近く便利である。
- 東京都内の会社が相当数、宮崎に拠点を構えていることも、宮崎がよそ者を受け入れる土壌が強い証拠である。
- 宮崎で創業した2019年当時、まだアクセラレータープログラムがあまり表に出ていない時期だったが、宮崎は行政も我々に何かしてあげたいという思いを持っているのを感じた。基本的にアウェイな環境からの立ち上がりだったが、行政側がカジュアルに相談に乗ってくれて、孤独感なく創業できたのは行政のサポートが大きい。
- 当社は地域資源の活用、地域の課題解決のため宮崎で創業した。宮崎では、ブリやカンパチなど夏の魚を養殖していると、冬場育てる魚がないという声を聞く。そこで、冷水性魚類であるサクラマスの養殖にチャレンジすることになった。この地域課題は宮崎だけでなく、近隣の県も同様であり、現在は九州各県や四国などからも問合せが来ている状態である。宮崎でのビジネスモデルを構築し、どんどん拡張性、再現性のある地域ビジネスを作ることができているというのは有り難い。
- 機運が醸成されている点も宮崎の魅力である。自分のような若者の挑戦に対して水産業の方が応援してくれる。自分も他県出身であるが、宮崎はオープンな方が多い。この雰囲気はとても大事なことだと思う。
- 課題としては、やはりお金の面である。スタートアップは先行投資が必要。開発費をどこまで経営の中で按分するのか経営判断が難しい。農業や商工業に関する補助金などがある中、こうした縦割りの補助金の中にスタートアップは入りづらい。スタートアップ向けの柔軟な補助金などがあると、新しいことに踏み込んでいける。
- 当社の事業は宮崎で行う利点がある。自分が宮崎出身だということもあるが、昆虫を育てるという事業の性質上、温暖な気候で土地が安いことが重要で、さらに、育てた昆虫を最終的に家畜の餌にするという用途があるため、畜産大国である宮崎で事業を行うメリットは大きい。
- 創業してまだ1年半であるが、この時点でこのような場に呼んでもうらえること自体、スタートアップに対する行政の協力がすごいと感じる。
- 課題は先行事例が少ないこと。スタートアップで成功した先輩が周囲にいないこと、話を聞ける機会が少ないことである。自分が宮崎の後輩のスタートアップ起業家に貢献できるよう努力していきたい。
- 当社は昨年度に県の脱炭素化技術研究開発支援事業の事業可能性調査の枠で採択され、大学と共同で事業の可能性を探る機会をいただいたり、地元金融機関から融資を受けたりなど、行政や金融機関などの支援で少しずつ事業を大きくしているという面が大きい。
- 宮崎県特有の農業、林業、畜産業に共通する課題をクリアできるようなビジネスモデルを目指しているが、当社の事業においては前例がないため、一つ一つステップを踏んでいる段階である。
- 一次産業従事者の方々は、一生懸命頑張っている若者を応援してくれる方が多く、地域としての温かさを感じられる。
- 当社は物流網が必要であるため、宮崎での創業は輸送コストが掛かるという課題がある。
- ビジネス以外の利点として、住みやすさがある。子育て環境の良さ、自然が多いので、例えば海に行ってアイデアを見直すなど気分転換が容易にできる点がメリットである。
- 当社は事業承継のマッチングサービスを提供する会社であり、宮崎でなくても良い性質の事業であるが、フルリモートの体制が社会として整ってきているので、宮崎でも良いという考えである。
- 一次産業を活かしたサービスを提供するスタートアップは当然宮崎にあってしかるべきだと思うが、我々のような場所を問わないスタートアップがなぜ宮崎で増えないのか不思議である。場所を問わない分、街が楽しいということがとても重要になる。フルリモートの社員が全国に散らばっているが、宮崎に来てもらうととても楽しそうに過ごしてくれる。
- 事業承継にもつながることであるが、宮崎はチェーン店が少なく個人店が多いところがユニークで、生活が豊かになると感じる。
- オフィスにできるところが少ないのが課題である。20~30人が一気に入るオフィスが少ない。都市部では設備があらかじめセットされたオフィスがあり、スッと入れてしまうので魅力的である。宮崎のオフィス環境を整えてほしい。
2.本県でスタートアップの創出と成長を促進するために求められる支援
- 東京ではない地域でスタートアップ支援をしていく時にどうしていくべきなのかという問いに対して、健全にえこひいきしてほしいと思う。今宮崎県内のスタートアップにおいて最も足りていないリソースは、起業家だと感じている。J-Startup KYUSHUに選定されているスタートアップ企業は9社しかいない。スタートアップの人たちにどれだけ大きくなってもらうかが大切なので、思いっきり担いであげてほしいと感じる。
- 県内の長年続く企業の経営者の方々との繋がりが意外とない。地場の先輩起業家との関わりを増やすことで、新たな協業が増えたり、エンジェル投資が盛んになったりすると思う。行政という第三者が、イベント開催などにより旗振り役をすることで、垣根が取れていくと良い。
- 中国のある都市に招待されて投資家に対するプレゼンをしてきた。日本から十数チーム招待されたが、旅費は全額その都市の負担だった。また、その都市で登記したらいくら、事業を興すならいくら、という形で補助金を設けていた。この都市はスタートアップを歓迎しているという意思表示を明確に感じ取れたことが良かった。そこまでできなくても、宮崎でも、県内で研究開発したらこういう支援をする、県もこのプロジェクトを推しているなど、はっきりした意思表示があるとチャレンジしやすくなると思う。
- 安定した会社ではなく、スタートアップに入社するのは勇気が要ることであり、そのような社員を私はリスペクトしている。社員の方も含めて、「スタートアップの皆さん、頑張ってください。」という雰囲気を出していただけると良い。
- スタートアップを創出するという意味では、中高生の段階からアントレプレナーシップ教育を行い、起業することが珍しくないという文化を県内で作り、起業したい人を増やしていくことが大切である。
- 既存のスタートアップへの支援としては、認知度を高めることへの支援が必要だと感じる。例えば、地元テレビ局と連携して、スタートアップの露出を増やすことで、良い流れができると思う。
- 大学生を対象にしたアンケート結果を見ると、起業に興味のある学生が意外と多い。起業したいと口にすることで格好つけているように周りから見られたり言われたりする状況が少なからずあり、まずは自分のしたいことを積極的に言える教育環境が必要だと考える。
- スタートアップの成長という点では、自分自身の経験として、資金調達をし始めた時に、特に出資を検討してもらえるよう投資会社へ相談に行った際に、専門的な用語ばかりで何を言っているのか分からないということがあった。行政と金融機関が連携して、資金調達方法に関する情報を積極的に公開してくれると起業した後も安心できるのではないかと思う。
- スタートアップの創出と成長のために、まずは、知ってもらうことが大事。地元の方にも外部の方にも知ってもらうために、例えば空港や物産展にスタートアップのパネルを置いて、面白いビジネスをしていることをPRできると良い。二次元コードで事業紹介なども付けることで、お金をかけずに手軽に知ってもらえる。
- オフィスの空き情報を入手しづらいので、情報が表に出るようにしてほしい。また、同じ市区町村の事業者に家屋の造作を発注すると補助が出る仕組みをよく聞くが、移転する際にそういった補助があると実際助かるため、こういったオフィス関連の支援を手厚くしてもらえると、企業が成長した後もまだまだ宮崎でやっていこうという気になると思う。
- 事業承継を経た企業は、与信を引き継ぐことができ、メリットが大きい。ゼロから事業を作らなくて良いため、1を10にすることが得意な人が入ってくることで起業家の裾野が広がる。Uターンと事業承継は相性が良いため、行政として、Uターン×事業承継企業の支援といった特色を出すのも良いと思う。
- 社会課題解決をしている、社会にインパクトを与えるスタートアップ企業は今後おのずと増えてくる。こうした企業に対する支援を充実させるのも良いと思う。
ページの先頭へ戻る
知事総括
- 本日の「知事との本音トーク」における皆さまの貴重なご意見と情報共有に心から感謝申し上げる。限られた時間と人数の中で、非常に興味深いお話を聞くことができ、とても有意義な時間だった。
- これからまた新しいことが始まっていきそうだと本当にワクワクする。行政が温かくサポートしていくことで、宮崎はもっと元気な地域になっていくと思わせてくれる様々なアイデアがあった。
- 今回いただいた貴重なご意見を参考に、本県のスタートアップの創出及び成長促進に向けて取り組みを進めていくので、これからも皆さまのご協力をお願いしたい。
ページの先頭へ戻る