掲載開始日:2022年2月1日更新日:2024年2月5日
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令和4年度に宮崎県伝統的工芸品の公式デジタルブックを制作しました。伝統的工芸品の製作工程をはじめ購入先や関連HP等を掲載しておりますので、ぜひご覧下さい。
<経済産業大臣指定伝統的工芸品>
全国の弓道愛好家から高い評価を得ている都城大弓の由来は、古く平安の昔にさかのぼると言われており、現在全国の竹弓の約90%を生産しています。
都城大弓は、焼いた4枚から7枚の竹を櫨(はぜ)で包むようにして張り合わせた弓芯を、さらに両側から弓竹で挟み張り合わせ弓の原形を作ります。これに約100本の竹製のクサビを1本1本打ち込み、締め付けながら、半円状に微妙な反りをつけ、弦を張って仕上げられます。
竹弓の切り出しから籐巻きまで、1人の職人がすべて手作業で行いますが、各工程の伝統的な技術を修得するには、10年以上かかると言われています。
平成6年4月に国の伝統的工芸品の指定を受けています。
ひむかの矢・久宗の矢には、鷲や鷹の尾羽を使用しており、全行程手づくりで作られています。
その製作工程は、まず、鷲や鷹の尾羽を小刀と金鎚を使い中心から割り、羽をそろえて5寸の長さに切ったのち、上下の茎を薄く削り、更に、茎の切断面をこてで焼いて溝をつけます。次に箆(の)の表面に漆で下地をつくり金箔をはり、3枚の羽を均等につけ、その上に麻を巻きニカワで固めて漆を塗り、矢はずの溝を使用者に応じた大きさにしてはめます。
最後に羽を湯気で戻して整えたうえで切り、箆を火にあてながらまっすぐにして完成されます。
四半的は、日南市飫肥地方(旧飫肥藩)に伝わる弓技で、標的が4寸5分(約13.6センチメートル)、弓矢の長さが4尺5寸(約1.36メートル)、標的までの距離が4間半(約8.2メートル)とすべて4.5で、正座の状態で弓を射るのが特徴です。
四半的に用いられる矢(四半的矢)は、標高300メートル以上の高山に自生するクマザサなどの竹を長期間乾燥した後、火で何回もあぶり、微妙な色合いをつけて完成されます。竹の持つ素朴さと優雅さを併せ持つ優れた工芸品です。
四半的は16世紀後半から400年余りの歴史を持ち、現在ではスポーツとして県内はもとより、熊本県、鹿児島県にも広まっています。
都城木刀は、薩摩示現流の太刀を見本にして江戸時代以降作られるようになったと言われています。また、明治の末に、神陰流の太刀型を加味して、反りのある今日の都城型の木刀になったようです。
材料には、霧島山麓に豊富に自生している照葉樹のうちで、弾性、強度、重量感に富むカシ、ビワ、イスの木などが使われています。なかでも、南九州特産のイスノキの古木の芯材(「スヌケ」と呼ばれる。)を使用した木刀は、黒みがかった渋い光沢を持ち最高級品とされています。
また都城木刀は、神陰流、柳生流など、流派ごとに形の違う木刀を二百種類以上も生産しているという特徴をもち、熟練した職人が、約20種類ものカンナを使い、一刀一刀入念に仕上げていきます。
現在では全国生産量の約9割を占め、国内はもとより欧米へも輸出されています。
竹刀は、現在では主に、4つに割った竹を束ね、つかと切先とを鹿革で包み、竹刀弦をつけ、つばをつけたものが用いられていますが、近世、柳生流では割竹を皮で包んだ袋竹刀が用いられました。
竹刀の製作は、主に霧島山系、綾地方の真竹を使い、竹刀の原形を作る「竹割り」、「油抜き」、割竹の幅をそろえる「側取り」、曲がった材料を竹刀の型に伸ばす「きょう正」、4枚の材料を一本の竹刀に合わせる「合わせ」、丸みをつける「仕上げ」、「つか削り」の各工程を経ます。
これらの作業には、長い間培われた手づくりの技が必要で、こうして作られた製品には機械づくりには無い強さ、美しさがあります。
日向竹刀は日向剣道防具、都城木刀、都城大弓などとともに優れた武道具として全国的に高い評価を得ています。
剣道防具とは、剣道で用いる面、胴、甲手(こて)、垂(たれ)を言います。
これらの防具は、江戸時代中期に作られはじめ、それまでの形中心の稽古から、防具を利用しての竹刀打ちの稽古に変わる等、剣道の試合及び練習方法に大きな影響を与えました。
剣道防具の製造には手の込む作業が多く、なかでも面作りと甲手作りには熟練した高度な技術が必要とされます。
面は、顔の輪郭を形取りし、内輪にビロード布及び面布団を一分刺しで一針ずつ縫い、次に三角針で木綿、フェルト、羽毛を縫い付けて作られます。
甲手は、親指と人差指の間に小じわを作るところに高度な技術を要し、内側に鹿毛を入れ込み手に衝撃のないように作り上げます。
こうして丹念に作り上げられた剣道防具は、日向剣道防具として、県内外の武道愛好家に高く評価されています。
日州透かし象嵌(初代・佐々木恒春氏)は、肥後象嵌(創始は慶長年間といわれる。)の流れをくむものです。
鍛錬された鉄地に、人間の手作業では限界に近い0.3ミリ程の細かい穴の透かし彫りをし、埋め込んだ金が取れない緻密な彫込(ほりこみ)象嵌をほどこして製作される鍔(つば)は、華麗で、美しい紋様は見る人の心を魅了します。
佐々木氏の卓越した技術は、日本美術刀剣保存協会無鑑査、「現代の名工」として労働大臣表彰を受けるなど、全国一の折り紙付きです。
細かな作業であるため、年間数枚しか製作されず、現在までその作品は60数枚しかないという、大変貴重な工芸品です。
都城弓は、県の伝統的工芸品として昭和59年に指定されました。
現在では、家屋の新築時に魔よけの縁起物として飾られる「錦弓」や、節句祝いや成人祝い等の贈り物に利用される「登弓」も作られています。
平成6年には「都城大弓」が、国の伝統的工芸品の指定を受けました。
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