第84回宮崎県公文書開示審査会議事録
1.日時
- 平成16年6月3日(木曜日)
- 午後2時~午後4時20分
2.場所
3.出席者
江藤会長、前原委員、川上委員、中原委員(欠席佐藤委員)
4.議題
(1)諮問第44号
「平成15年度農地法第4条及び第5条の規定による許可申請書」の公文書部分開示決定及び「平成15年11月19日○○○敷地内の農地に関して測量業者と話をした内容が分かる文書」の公文書不開示決定に対する異議申立て
5.主な議事内容
(1)前回の審査会における委員からの質問に対する回答
- 1)○○○土地改良事業について
- 事業は昭和56年の換地処分をもって完了。しかし受益地が広いため、現在でも水路や用水ポンプ等の管理は行なっている。
- 土地改良事業関係の書類の保存期間は、基本的に換地処分後5年間。換地計画図については、永年保存(コピーは不可)である。
(換地計画図で換地前後の土地の状況はわかるが、換地完了後に土地所有者は合筆、分筆等を行うことがあるため、現状を反映していない。)
- 2)○○○敷地内の農地について
現在は、農地(2筆:地目はいずれも田)のみが存在するだけである。
(2)異議申立人の口頭意見陳述
約20分程度で終了。意見陳述終了後、会長が陳述内容の趣旨を確認した以外に委員からの質疑等はなし。
(3)審議
(注意)主な審議内容は以下のとおり
- (会長)
内容の審査に入りたいが、審査の方法等について何か意見はないか。今日は異議申立人の意見を聞いたが、ケースによっては実施機関を呼んで話を聞いたこともある。今回の場合はそこまでする必要性はあるか。
- (委員)
聞いてみたい気はする。県民の奉仕者である県庁職員がそのようなことを本当に言ったのかどうか聞きたい。
- (委員)
私達は諮問された2つの決定処分について、条例に則った解釈、判断をしていくが、仮に異議申立人がこの審査会を懲罰を与える会だと認識しているとしたら、その誤解をきちんと説明するのは誰の役割になるのか。
- (事務局)
必要があれば、何らかの形で説明することは可能だと思う。
- (会長)
審査会は、条例の不開示基準に則って実施機関の決定が妥当か否かを判断するのが役割である。実施機関を呼んで意見を聞くか否かは、審査の過程で必要ありと判断した場合に対処するということでいいか。(異議なしの声)
それでは、不開示理由となっている条例第7条第2号(個人情報)の解釈及び不開示とした部分の考え方について、対象公文書を見ながら事務局より説明をお願いしたい。
- (事務局)
条例第7条第2号(個人情報)の規定、解釈について説明。また、不開示処分した部分の考え方について、実施機関の理由説明書にそって説明。
- (委員)
シーガイア訴訟の時に法人の役員名等は、商業登記簿を見れば判明するので役員名は不開示情報にならないのではとか、日経新聞等の決算公告欄に財務諸表の概略が掲載されるので、その範囲内で開示すべきではないかとか議論した記憶がある。その時の事例と今回との関連はどのように考えたらいいのか。特に不動産登記簿上の情報が不開示というのは、違和感を覚える。
- (委員)
説明があった条例第7条第2号(個人情報)の解釈について、「不動産登記簿中の個人情報などは、法令等の規定により何人でも閲覧できることにはなっているが、開示請求の対象公文書に当該登記簿等が添付されている場合は、当該対象公文書自体は法令等の規定により閲覧されているものではなく、登記簿中の個人情報を何人でも閲覧できることをもって開示することにより、対象公文書中の個人情報も開示することとなると、本号の趣旨である個人情報の保護という法益が確保できない。したがって、このような場合における不動産登記簿は対象公文書の添付書類として通常の対象公文書と同様に取り扱うべきであるため、個人情報は不開示とすべき」との部分が裁判所にいっても通用するのか気になるところである。
- (事務局)
従来の県の考え方では、対象公文書中に個人を識別できる情報があればすべて不開示にする取扱いである。よって、対象公文書中の不動産登記簿が添付されていても、その公文書自体はいつでも誰でも見ることはできず、純粋にそれを公文書として捉え、その文書に含まれる個人情報は不開示としていた。他法令で何人でも閲覧できる情報を開示すべきかどうかについて判断した裁判例も何件かあるが、詳しくは言及されておらず、他の都道府県の取扱い、判断も分かれているところである。ここで、土地改良事業計画書の開示請求に関し、不動産登記簿上の情報をどのように取り扱うかについて、ある自治体が全国調査した資料があるので、説明したい。(資料を配布して、全国の状況を説明)
本県のように不動産登記簿上の情報は、特定の個人が識別されるとの理由で不開示にする自治体は少数で、概して不動産登記簿で閲覧できる情報は公開との取扱いをする県が多い。今後、法令で何人でも閲覧できる情報について、どのような取扱いをしていくべきか審査会で議論いただければと思う。
- (委員)
不動産登記簿の取扱いについて、先程説明のあった解釈のような文書化されたものはあるのか。このような文言を解釈にいれることで、開示できる範囲が狭まっていくような気がしないでもない。
- (事務局)
条例改正後、新たに作成する条例の解釈運用基準の中で、従来からの不動産登記簿の取扱いを文書で確認的にいれようとしたものであるが、まだ印刷製本等の作業はしていないところである。
- (委員)
他法令で何人でも閲覧できる情報は、条例第7条第2号ただし書アの規定で例外開示情報とされているのに、あえて解釈運用基準に先程説明のあった文言をいれて、開示範囲を狭める必要があるかどうかの問題ではないかと思う。この解釈が意味する考え方も個人情報をみだりに公にしないとの趣旨からよく理解できるが、条文で明記されているのに条文に違反する解釈論、いわゆる開示範囲を狭める解釈論を展開することが、若干、気になるところである。
県のスタンスの問題もあると思うが、先程の全国調査の資料を見ても不動産登記簿上の情報を不開示とする自治体は少数であるから、公文書の添付資料として不動産登記簿が混じっている場合も、ただし書アの規定に該当すると割り切って個人情報の例外として取り扱うかどうかではないか。他に委員の御意見を伺いたい。
- (委員)
知事は選挙公約では情報公開の推進を宣言しているから、委員の立場からすれば公開してもらった方がいいと思う。
- (会長)
少し総論的な議論になってしまったが、順次、対象公文書の不開示部分について協議していきたい。<順次、対象公文書の不開示部分について協議、質疑>
- (事務局)
転用申請地の所在は、申請地が○○○と特定されているので大字以下の部分を不開示としている。申請者の住所は、転用申請地の市町村と申請者の住所の市町村が違うこともあるため、市町村名からすべて不開示としている。
- (委員)
土地は昔から国のもので便宜的に個人に一時的に与えるという制度だったのだと思う。もともと地球は人類のものであって、徳川時代から農地はお上のものであるとの考えもあるから、土地に関する情報を公共団体が囲わなければならないという発想は、どうも逆行している気がする。確かに、個人情報に結びつくといけないからブレーキがかかるのは理解できるが、そのあたりをどのように考えていくかだと思う。
不動産登記簿の情報は、公開された情報であるという気がするところである。
- (委員)
法務局に行けば、何人でも閲覧できる情報なので、あえて隠す必要はないと思う。
- (会長)
法務局の登記簿情報はインターネットでも閲覧できる時代になっており、家庭でも不動産の権利関係の情報は容易に入手できる。いってみれば、今回の案件は、県の姿勢が試されるのかもしれない。委員の大方の意見は、不動産登記簿上の情報は、開示すべきとの意見であると思うが、仮にそのような対応をした場合、対象公文書等の中で開示できる部分をどこまで関連づけられるのか、事務局で一度精査いただけないか。そして、次回の審査会で詰めた協議を行い、全体的に矛盾はないか判断していきたい。
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