掲載開始日:2020年6月15日更新日:2024年4月11日

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耐震

1.建物の耐震性を考えるにあたって基本的な事項を以下にまとめました。

  • 地盤のことについて考えましょう。
  • 住宅の基礎について考えましょう。
  • 住宅の構造・工法について考えましょう。
  • 住宅の構造的耐久性について考えましょう。

地盤のことについて考えましょう。

  • 地形は大きく山間部と平野部に分けられます。
  • 平坦あるいは緩やかな平野部の場合は、最も新しい地質時代である新生代第四紀に形成された地層(洪積層、沖積層)がほとんどであり、大地震の際には液状化現象を起こしやすい性質があります。
  • 造成宅地は、斜面を切り取った「切土」と新しく土を盛った「盛土」によって造成される場合がありますが、「盛土」部分は、盛土時に密に転圧していないと地盤が沈みやすくなります。

地盤のことについて考えましょう

住宅の基礎について考えましょう。

  • 建物本体を支える基礎には、直接基礎と杭基礎があります。
    直接基礎〕独立基礎、布基礎、べた基礎の3種類があります。木造住宅の多くに用いられる工法ですが、現在の一般住宅の多くは、べた基礎となっています。
    〔杭基礎〕基礎の下から杭を伸ばし硬い地盤まで到達させることで安定させる工法です。建物を軟弱地盤に建てる場合に用いられます。

住宅の基礎について考えましょう

住宅の構造・工法について考えましょう。

  • 住宅の場合は主に、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つがあり、それぞれ長所もあれば短所もあります。
  • 構造・工法によって、価格、耐用年数、建築後の維持管理費が異なりますので、これらを総合的に考慮し検討する必要があります。

住宅の構造的耐久性について考えましょう。

  • 外見から見えない構造体がシロアリによって被害を受けた木造住宅は、構造体の強度が低下しており、地震に対して弱くなります。
  • 木造の土台や柱の下部が地面に近いと湿気の影響を受けやすく、腐朽菌によって構造体の強度が落ちて地震に対して弱くなりますので、床の高さを適切な高さとすることや床下をベタ基礎等でコンクリート等で防湿することが有効です。
  • →住宅の手入れについてはこちら「住宅の維持・管理

2.地震に強い家づくりのポイントは、以下のとおりです。

  • 敷地の地盤調査を行い、「不同沈下」が起きない対策をとりましょう。
  • 耐震診断をして、地震に対する安全性を確認しましよう。
  • 耐震補強の対策をとりましょう。
  • 地震時の設備や家具の安全性を確保しましょう。

敷地の地盤調査を行い、「不同沈下」が起きない対策をとりましょう。

  • 住宅敷地が盛土の場合には地盤調査をしておきましょう。地盤調査の結果、地盤が軟弱だった場合は、地盤改良工事を施す方法や杭を支持層まで打ち込む方法などがあります。
  • 軟弱地盤による「不同沈下」を避けるためには、基礎の設計で「べた基礎」を採用することが有効です。

敷地の地盤調査を行い、「不同沈下」が起きない対策をとりましょう

耐震診断をして、地震に対する安全性を確認しましよう。

  • 誰でも簡単にできる耐震診断が(財)日本建築防災協会内のホームページにありますので、チェックしてみましょう。
  • 低い評価の場合、さらに専門家の建築士に相談して詳細に診断してもらいましょう。
  • 耐震診断にかかる費用については、市町村によって補助がありますので、各市町村の建築担当課に問い合わせてください。

耐震補強の対策をとりましょう。

  • 平面における縦方向、横方向それぞれにバランス良く、「耐力壁」(筋かいや構造用合板で補強した壁)を配置することや、柱、梁、土台などの接合部を補強金物により適切に補強することが重要です。

地震時の設備や家具の安全性を確保しましょう。

  • 地震時の家具の転倒を避けるためにL型金物等で壁面に家具を固定しましょう。
  • 家具の前面下部に敷物(パッキン)等を挿入し、壁側に少し傾斜させ、家具の転倒を防止しましょう。
  • 就寝時に家具が転倒しないように、また転倒により出入り口をふさがないように家具配置を考えましょう。

3.免震構造

来の地震に耐えるという考え方の「耐震」という考え方に加えて、地震力を抑制または制御し、そのエネルギーが建物に伝わらないようにする「免震」あるいは「制振」という考え方が近年導入されるようになってきました。免震構造の概要を以下に示します。

免震構造の特徴

  • 免震構造は地震のエネルギーを直接建物本体に伝えないようにした構造で、耐震構造より揺れが少なくなりますが、コストは割高になります。

免震構造の仕組み

  • 免震構造は建物の基礎架台と地盤の間に積層ゴムやボールベアリング等による装置を設けて地震の外力を逃がす仕組みになっています。
    出典(独)日本原子力研究開発機構

免震構造

4.木造住宅の耐震について

補強方法

  • 玉石基礎などの場合は、鉄筋コンクリート造の布基礎に替え、これに土台をアンカーボルトで締め付けて固定します。
  • 腐ったり、シロアリに侵食された部材は取り替えます。特に台所、浴室の近くや北側の土台まわりのように湿りがちのところは腐りやすいので注意しましょう。

補強方法

  • 土台、柱、筋かいなどの接合や柱や梁の接合は金物等を使って堅固なものにします。

土台、柱、筋かいなどの接合や柱や梁の接合は金物等を使って堅固なものにします

  • 筋かいを入れたり、構造合板を張って耐力壁を増やします。壁の量を極力増やし、かつ、釣り合い良く配置することが重要です。

筋かいを入れたり、構造合板を張って耐力壁を増やします。壁の量を極力増やし、かつ、釣り合い良く配置することが重要です

木造住宅の耐震設計のポイント

(地盤)

  • 敷地選定にあたっては、できるだけ堅固な地盤が望まれます。あらかじめ地盤調査を行なって敷地の地盤状況が悪い場合は、地盤改良等を行う必要があります。

(建物の形)

  • 建物の立面及び平面の形状は、単純でバランスのよいものとします。このような形は耐風性や耐震性の面からも好ましいといえます。
  • 平面上凹凸のある家は、風をはらみやすく耐風上不利になるだけではなく、建物の形が複雑だと雨漏りもしやすくなります。

(耐力壁の配置)

  • 耐力壁のバランスが悪いと地震時にねじれて、大きな変形を生じて壊れるおそれがあります。耐力壁はバランス良く配置することが肝心です。

(建物の重さ)

  • 建物を耐震的にするには、建物の重量を軽くすることが有効です。屋根葺き材、壁及び床等の重量が大きくなると耐力壁の量や柱の太さ等を増やさないといけません。

(基礎)

  • 基礎は1階外壁の下部及び主要な間仕切り壁の直下に設け、全体が連続して一体化した基礎とします。
  • 基礎は布基礎またはベタ基礎とし、一体の鉄筋コンクリート造とします。

(土台)

  • 土台にはヒバ、ヒノキ、JISまたはJASの防腐処理木材等を使用します。
  • 土台はアンカーボルトで基礎に緊結します。

(柱)

  • 柱は屋根や床などの荷重を土台や基礎に伝える部材なので、決められた太さ以上のものを使用します。
  • 柱にかかる荷重は、各々の柱に均等になるように配置し、できるだけ上階の柱は下階の柱の上にのせるようにします。

(筋かいの耐力壁)

  • 筋かいは、筋かいの向きが異なるものが一対になるように入れます。
  • 筋かいは土台・柱・桁または梁からずれないように接合金物でしっかり留めます。

筋交い

(合板等の耐力壁)

  • 耐力壁に使用する合板等は、構造用合板、せっこうボード等の種類があり、JISやJASで品質が決められています。

(床・屋根)

  • 床組の隅角部には、火打ち材を入れて床面がゆがまないようにします。
  • 床下地材として構造用合板等を張ると床面を固めるのに有効です。
  • 屋根面では、小屋組に振れ止めを設け、小屋梁面を床面と同様に隅角部には火打ち材を入れて全体がゆがまないようにします。
  • 屋根下地材として、構造合板等を張ると屋根面を固めるのに有効です。

小屋組

(継手及び仕口)

  • 木造住宅において、基礎と土台と柱、柱と梁、筋かいと柱などの接合部の継手や仕口部分に適切な補強をしていない場合、台風や地震などによって水平力が加わると、筋かいがはずれたり、柱が土台からがずれたりと、家屋の崩壊を招くことになります。
  • 筋かいなどの耐力壁を構成する柱が1階又は2階のどの位置にあるかによって柱脚、柱頭の仕口に必要な接合金物を選択する必要があります。補強金物には多くの種類があるので選び方や使い方を間違えると、その効力を発揮できなくなるので、建築士の資格を有した専門家に頼んで設計してもらう必要があります。
  • 特に柱が引っ張りによって引き抜かれないようにするためには、柱と土台と基礎とをホールダウン金物や羽子板ボルトなどの引き止め金物などで、一体的に補強することができます。

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