ネオニコチノイド系農薬の農作物への使用について
提言(令和3年12月9日)
(性別:女性、年齢:50代)
農業県である本県のネオニコチノイド系農薬の使用状況について、県民の健康への悪影響を心配している。欧米は規制が進んでいるが、日本は規制が緩い。農薬は残留影響の解消まで一定期間が必要となるので、県独自でも早急な禁止・規制に入った方が良いのではないか。
回答
日本は温暖湿潤な気候であるため、病害虫や雑草が多く発生し、冷涼乾燥条件にある欧米と比べて農作物が被害を受けやすい環境にあります。このため、農業経営を行う上で、農薬を効果的に活用することは、病害虫などによる被害を回避または軽減し、収量や品質が向上するなど、重要な防除手段の一つとなっています。
一方、農薬は農作物に散布することで、その一部は環境中に放出されるものであるため、人の健康や環境に対する安全を確保し、農薬を適正に使用していくことが重要です。
このような中、国では既に登録されている全ての農薬について、最新の科学的知見に基づき安全性などの再評価を行う仕組みを導入し、必要な場合には随時、登録の見直しなどを行うこととしました。この再評価は国内で使用量が多い農薬から順次実施していくこととなっており、ネオニコチノイド系農薬は本年度から評価を開始すると伺っています。
なお、各農薬メーカーなどが、法律に基づく国の登録を受けた上で販売している製品に対しては、県が使用を禁止・規制する立場にはありません。
しかしながら、本県では、土づくりや適正施肥などを基本に、生物農薬や防除資材などを活用することで化学農薬だけに依存しない栽培技術の普及を推進することで、環境に対する影響低減を目指しているところです。
また、国は今年5月に発表した「みどりの食料システム戦略」の中で、ネオニコチノイド系農薬を含む従来の殺虫剤を使用しなくても済むような新規農薬などの開発により、2050年までに、化学農薬使用量の50%低減を目指すという方針が打ち出されたところです。